門野博弁護士インタビュー

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木曜日

-西日本新聞 2019年8月20日 「近隣住民証言うのみ「誤り」 大崎事件再審取り消し 元東京高裁判事・門野博氏に聞く」(アーカイブ

元裁判官の門野弁護士は、東京高裁の判事時代に狭山事件の第三次再審請求審を担当し、検察に証拠開示を勧告したひとですね。

自白に関する最高裁の判断については次のように厳しく批判されています。

-確定判決を支える証拠の柱は「共謀して殺害し、遺体を遺棄した」と認めた元夫や義弟らの自白と、「共謀の現場を見た」とする義弟の妻の目撃供述だ。これらの自白や供述の信用性は、これまでの裁判で何度も否定されていたのに、最高裁は「信用性は強固」と正反対の見方をした。

 「彼らは共犯者とされた者であり、一般的に共犯者の供述は無関係の第三者を巻き込む危険があるとされている。最高裁自身が過去の判決の中で繰り返し警鐘を鳴らしてきた。その上、彼らにはいずれも知的障害があった。その供述の信用性はとりわけ慎重に検討されなければならなかった」

 「彼らの供述は当初から変転し、まことに空疎で曖昧模糊(もこ)としたものだった。捜査官らは元夫、義弟らを犯人と決めつけ厳しく追及して自白を得たが、自白は捜査官の見立てに連動して『2人犯行説』から、『3人犯行説』へ、最後は『4人犯行説』へと変遷した」

 「義弟の妻の目撃供述も極めて空疎であり、共犯とされた義弟やその息子の母や妻として、2人を有利にするために心ならずも原口さんを巻き込んだと考えれば納得がゆく。現実にこれまで再審開始を支持した多くの裁判体、裁判官は、いずれもこれらの供述に強い疑いを抱いた。『信用性は強固』などという最高裁の判断は、極めて独善的である」