ウニを100円で食えなきゃダメですか?


私の知るかぎり、マスメディアでニホンウナギの“代役”ウナギが大々的にとりあげられる嚆矢となったのがテレ東系列で放送されている「ガイアの夜明け」なのですが、8月23日放送分はウニとクロマグロのコンボ!

日本人が大好きな寿司ネタである、ウニとマグロ。世界の生産量のうちの多くが、日本で消費されている。しかし近年は世界的な食材争奪戦や気候変動による不漁などによって、こうした食材の確保が難しくなっている。そんな中、これまでの仕入れのやり方を見直し、生産地に日本の技術を持ち込むことで、日本人が求める味を確保しようという動きが活発になっている。そうした新たな食材調達の現場を追った。

前半は、回転寿司チェーンのスシローが1貫100円で出すウニを仕入れるために、ペルーまで行って水産加工場の処理プロセスを改善、というお話。「どうせ喰うなら旨く喰おうぜ」で結構なはなしと思われるかもしれないが、値段が安くなればカジュアルな消費を増やし、漁業圧を高め、絶滅を招くかもしれないわけですよ。ちなみに、国際的に取引されるウニのうち日本がどれくらいを輸入しているかといえば……。


後半は(おそらく)地球温暖化の影響で、それまで獲れなかった大西洋クロマグロアイスランドで獲ろう(現地の漁業者に技術指導して輸入しよう)というお話。「マグロの回遊コースが大きく変化している」という事実にもっと慄いたほうがいいと思うんですけどね。で、日本に届いたマグロが運ばれた先が銀座・久兵衛でした。そう、2013年のテレビ番組でクロマグロが「希少」になっているという実感はない、と言ってのけた主人の店です。


日本のマスメディアが生物多様性コンシャスではない企業や店舗を持ちあげなくなる日は来るのでしょうか……。