尻すぼみな陰謀論


なんやかやと田中角栄ブームだそうですが、『産経新聞』も【角栄逮捕・40年後の証言】なる連載を始めています。となると気になるのはロッキード事件陰謀説をどう扱っているか、です。
連載第2回の「無罪を信じ米国人代理人を断った元首相…依頼した石井一氏は「追い落とそうとした米政権のワナにはめられた」」は、例によって大久保被告がほぼ全面的に自供しており、嘱託尋問調書の公判における価値は極めて限られたものになっていたこと、を無視していますね。第3回は「虎の尾踏んだ田中の自主外交 米公電が示した不快感「対米従属批判を恐れた」」とおおきく振りかぶって見せますが、米政府の事件に対する態度について「国務長官になっていたキッシンジャーは、この公聴会に先立つ75年11月28日付で司法長官、エドワード・レビ宛ての書簡で、ロッキード社の資料公開に異議を唱えていたことが分かっている」と認めざるを得ず、尻すぼみに終わっています。