スティーヴ・ブシェミの生物学に対する貢献

ニール・シュービンの『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト―最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)という本を読んでいたら、思いもよらずスティーヴ・ブシェミの名前が。カイメンをふるいにかけてバラバラの細胞にしてから観察すると細胞の自己組織化現象がみられる、という昔生物の教科書かなんかでも読んだはなしを紹介した後で。

(……)もし私達にカイメンと同じ芸当ができるなら、コーエン兄弟が制作した映画『ファーゴ』[一九九六年制作のアメリカ映画]の登場人物で、木材破砕機でミンチにされるスティーヴ・ブシェミは、無事にもとの体に戻れただろう。実際には彼はこの実験を目にしたら希望を抱いたかもしれない。細胞が凝集して、彼の分身をいくつも形成してくれるかもしれないからだ。
(200ページ、[ ]内は訳者の注記)