総務省、ネットのデマに関して関連団体に要請


これまでのところネットで見かけた反応は否定的なものばかりでしたが、「「朝鮮進駐軍」検索してね」なんてプロフィールの人間が「キター!中国のネット規制をバカにできなくなってしまった。まさか日本にこんな日が来るとは…かなりガクブルものです。」なんてつぶやいているのをみるとむしろ逆張りしたくなりますね。
より真っ当な批判としては「まず政府が正確な情報を早く出せ」といったものがありますが、これも決定的な対策にはならないでしょう。まず第一に、政府が正確な情報を出すか否かだけではなく(あるいはそれよりむしろ)「政府が正確な情報を出すと思うか否か」によって(も)人々の行動は左右されます。そもそも政府が「正確な」情報を「いち早く」開示しているかどうかをリアルタイムでチェックすることは極めて困難ですし。情報公開に関する日本政府の負の実績は周知のことなので、逆の実績を長い間積み重ねない限り「政府がああ言っているからこれはデマなんだろう」といった信頼は培えないでしょう。
第二に、これほどの規模の災害の場合は政府や地元自治体にも把握しきれない事態が少なからずあり、また関連情報をメディアが伝えきれない、あるいは視聴者・ネット利用者がフォローしきれないという問題もあります。そうした隙間は流言飛語の培地になってしまいます。そして第三に、こういう機会を捉えて意図的にデマを流す人間もいることを今回われわれは観察しているわけです。この観点から言えば、総務省の「要請」が「不安をいたずらにあおる流言飛語」を対象にしているだけで、憎悪をあおるデマへの目配りがないことは気になります。「市民の安全を守るため」の要請なのか、「国民を思い通りにコントロールするため」の要請なのか、といった志の違いが露呈しているようで。


そう考えると、今回の総務省の「要請」それ自体をどう評価するかは別として、また「大災害時に、それに関連した情報について」という限定を加えたうえで、デマに対する積極的な対策というのは検討の余地のあることでしょう。


追記:ただし、「デマ」をただ削除するだけではなく、削除の対象となった「デマ」およびそれを「デマ」と判断した根拠に関する情報をどこかに集約する必要はあるでしょう。「こっそり削除」は削除に対する説明責任という点で問題があるだけでなく、陰謀論を呼び込みかねません。また、はっきり虚偽と判明したのか、裏付けがないだけなのかの区別も明らかにしておく必要もあるでしょう。