無償化問題で毅然とした態度をとっていたら……


前原元外相に続いて菅首相にも波及した在日韓国人からの献金問題ですが、ある意味では朝鮮学校を高校無償化の対象から排除した民主党政権の自業自得と言えるのではないでしょうか。あのとき、朝鮮学校に無償化を適用するかどうかはこの社会がマイノリティ(しかも過去における自国の植民地支配という歴史と密接に関連して形成されたマイノリティ)に対してどういう姿勢を示すかの問題である、という基本的な原則を明らかにし、かつそこにおいて排外主義とはきちんと対決するという方針を示していたら、今回のケースでも特別永住資格をもつ外国人が「献金」というかたちですら政治参加することを拒否しているこの社会のあり方を問題にすることができたはずです。
もちろん、その場合には、臆面もなく排外主義的に振る舞う党派やメディアからの攻撃はいっそう激しくなったでしょう。しかし無償化からの朝鮮学校の排除がはらむ排外主義をスルーしているこの社会のマジョリティといえども、正面切って「排外主義に与するのか、否か」を問われて「与する」と答える人間が多数を占めるだろうとはさすがに思いません(というか、思いたくない)。党のアイデンティティとしても、自民党と右ウイングの支持を取り合うことに意味はないはずです。いまとなってはもう手遅れかもしれませんが。朝鮮学校への無償化を拉致問題や砲撃問題と絡めることにゴーサインを出した政権が「特別永住資格者からの献金を政局の材料にするな」と主張してもなんら説得力はありませんから。