ホールドとセーブ


例えばタイガースが僅差でリードして相手の8回の攻撃を迎え、かつその相手の攻撃が3番*1から始まるとすると、もっとも合理的なのは(現在で言えば)藤川を8回に投入し、9回には西村ないしそれに代わる投手を投げさせることであろう。「セーブ」は(一定の条件を備えた)ゲームセット時の投手につく記録であるから特別視することにはそれなりの理由はあるけれども、ある勝ち試合においてもっとも重要な役割を果たしたリリーフ投手につくとは限らない。とはいえリリーフ投手にとってもっとも権威のあるタイトルは(現在では)「最多セーブ投手」であるから、相手の8回の攻撃が3番から始まる場合に監督は「ブルペンにいる2番手の投手で相手のクリーンアップ・トリオをしのぐ」か「クローザーに2イニングを投げさせる」かの選択を迫られることになる。切り札となる投手の投球イニングを1試合あたり1イニングに限定することには意味があると思うが、「最多セーブ」というタイトルはその切り札を常にもっとも効果的なタイミングで使うことを妨げているような気がする。

*1:3点差なら1番から、と仮定してもよい。