新書一冊読めばいいのに


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http://d.hatena.ne.jp/apesnotmonkeys/20091113/p2
http://d.hatena.ne.jp/apesnotmonkeys/20091116/p1

 一時間ほどいて、この大槻暁なる、刑事部凶行課長は、三度ほど、「復讐」の内容は何か、と訊いた。なるほどこれでは冤罪が生まれるはずだと思ったね。自宅で、こんな下らないことでもここまで食い下がって、私もあやうくそのしつこさに負けて、何か言うところだった。そりゃ殺人罪とかで逮捕されて、やったといえば帰してやるとしつこく問われたら、ウソの自白もするわい。まったく警察の横暴である。
http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20100510

被疑者に相当程度の知的障害がある(ように見える)場合にたちの悪い捜査員がそういう誘導をやらないとは断言できないが、殺人容疑で逮捕されていながら「やったといえば帰してやる」などという誘導に乗る被疑者などそうそういるものではないし、それを知っている捜査員がそんな誘導をすることもまずなかろう。あいかわらず虚偽自白についての「認めれば帰してやるから、形式だけだから、かなんか言われて嘘の自白をしてしまうのをよく知っている」というステレオタイプ的な認識から抜け出せていないようである。さらに言えば、脅迫の刑事告発を受けて捜査している刑事が「復讐の内容としてなにを考えていたのか?」などと尋ねるのはごく当然のことだ。
これはついでだが。

 いや実に悪質な嫌がらせである。私は、脅迫罪というのは、殺すとか殴るとか、内容がなければならないし、五万円払わなければ何々するというもので、これはそのどちらの要件も満たしていない、そもそも警察で受理すべきものではない、と言ったが、大槻は「いや、それが、なると言うんですよ」と言う。
(同所)

「五万円払わなければ何々する」があればそれは恐喝になるのであって、脅迫にはそのような要件など必要ない。また山崎製パンの社長宅に「復讐してやる」と脅迫電話をかけた男が逮捕された事例もある。まあ報道によれば「「復讐してやる」などと脅した疑い」ということなので他にもっと直裁な文言を使ったのかもしれないが、そしてそれが被害者のプライバシー等に関わるため伏せた、といった可能性を考えることもできるが、他方脅迫電話の代表的な「内容」として松戸署が「復讐してやる」を選んで発表したという可能性もあろう。