名張毒ぶどう酒事件再審請求、名古屋高裁へ差し戻し


共同通信が伝える最高裁の決定理由要旨によれば、弁護側の5つの主張のうちトリエチルピロホスフェートをめぐるものについて「事実は解明されておらず、審理は尽くされていない」としたものの、再審決定ではなく高裁への差し戻し。田原裁判官の補足意見に「化学反応への見解が学者によって対立することは理解に苦しむ」とあるけれども、弁護団に言わせればこの論点についての「見解」が裁判官「によって対立」し、名古屋高裁が再審開始を取り消したことは「理解に苦しむ」のではないだろうか。
なお捜査段階での自供について、当時の捜査員の一人が取材に応じて「拷問されたわけでもないのに自分から涙をぼろぼろ流して自供した。自分の罪の重さを悔やんで謝ったと思った」とコメントしている。しかし虚偽自白が拷問によらずとも生じうることは、足利事件の例に照らしても明らか。
東京新聞が「名張 地元住民は困惑」と題して事件が起きた地区の住民の反応を紹介している。冤罪は被害者やその家族・遺族にとっても二次被害をもたらしかねない、ということかと。