臭いによる排除に抗して

年末年始は(宅配の)新聞をろくに読んでなかったので今日になって気づいたのだが、朝日新聞(大阪本社)朝刊で元旦から「探嗅」と題するシリーズが始まっており、その第4回である1月5日分は「路上で消臭 生きるため」という副題でホームレスの「臭い」をめぐるいくつかの情景を描いている。もちろん、以前にネットでも話題を集めた「図書館」も登場する。

 大阪・梅田近くの公園に住んでいた男性(24)は、図書館での苦しい思いを忘れない。
 (中略)
 昨夏――。あてもなく歩き回り、あちこちトイレで時間をつぶした。限界だった。体を休めたい。たどり着いたのが、図書館。新聞の求人欄を見たかったし、阪神タイガースの結果だって気になる。
 学生や主婦らの視線が突き刺さった。絶えられず、その場を離れた。心当たりは、においしかない――。
 「僕のハートは、そんなに強くない。迷惑をかけてるとわかったから」。人が集まる場所を避けるようになった。「人としゃべられへんつらさ。孤独が一番、しんどい」

図書館近くで自立歩行もできない状態で保護されたとき、食費を切り詰めてまで服の洗濯を心がけていたのか、介抱した図書館職員がホームレスだとは(後で事情を聞くまで)わからなかったというケースも紹介されている。まさに「生きるため」の「消臭」。
他方で、「においが差別を助長する」という問題意識からホームレス支援に取組んでいる団体のことも紹介されている。