テレビ朝日「スーパーモーニング」ほか

12月28日の「スーパーモーニング」(テレビ朝日、午前8時〜)が布川事件をとりあげ、検察の証拠隠しなどを指摘したうえで、取調べの「部分可視化」を厳しく批判していました。「未提出記録がどれくらいあるのか?」という弁護団の質問に対して「段ボール9箱」との回答があり、その後開示された証拠の中には二人が犯人であるという主張とは矛盾する毛髪鑑定、目撃者調書などが含まれていた、また証拠とされた虚偽自白の録音テープには編集の痕跡が見られる、など。紹介された一審での裁判長とのやりとりでは、裁判長が「すらすら」自白している様子から有罪との強い心証を得ているらしいことがわかる。「いかにして無実の人間が犯行の細部を語るか」についての理解がなければ、「部分可視化」には大きな弊害があるだろうことが推定できるだろう。


また、コメント欄でご紹介をいただいていたように、12月17日のNHK総合視点・論点」には浜田寿美男・奈良女子大教授が登場。サブタイトルは「無実の人がなぜ自白するのか」となっているが、内容は「なぜ」だけではなく「いかに」についても含んだもの。戦後、大きな冤罪事件だけでも数百件は起きているという推定がなされている。
当ブログでは「無実の人がなぜ自白するのか」という点についてはあまり触れておらず、「いかに体験していない犯行を語るのか」「虚偽自白をいかに見抜くか」という論点を中心にとりあげてきた。いい機会なので、第一の問いについて番組でのコメントを箇条書き的に。
・「孤立無援の状況」では「容易く崩れてしまう」という人間の弱さ
・真犯人に自白させる取調べの圧力は、虚偽自白への圧力ともなる
・被疑者が犯人でない可能性を念頭に置かない取調べの過酷さ→無力感、絶望感
・日常生活からの遮断、生活全般を監視下におかれることによる心理的安定の喪失
・取調べがいつ終わるか、という見通しが持てない
・自分の命運を握っている取調官への迎合
・否認が量刑面で不利であるという脅し
・無実の人間は(自白の帰結としての)刑罰に対する現実感を持てない


「体験してもいない犯行をいかにして詳細に供述できるのか」という点については、下記のエントリーで紹介しているので、興味のある方はご参照ください。
http://d.hatena.ne.jp/apesnotmonkeys/20090112/p1
http://d.hatena.ne.jp/apesnotmonkeys/20090113/p2
http://d.hatena.ne.jp/apesnotmonkeys/20090116/p1