「ポリちゃん想定問答集」その他

 JR宝塚線福知山線脱線事故をめぐり、JR西日本の担当者が、事故の捜査をしていた兵庫県警の事情聴取が始まる前に、対応マニュアルを作成していたことがわかった。「ポリちゃん想定問答集」と名づけられていたという。また、取り調べを受ける社員らに対して、事故の関係資料や社員の供述内容をまとめたメモを配っていたことも判明。捜査当局は、社内で口裏合わせをした疑いもあるとみている。


 JR西によると、「ポリちゃん想定問答集」は、同社の安全運行に携わる担当者が作成した。この担当者は社内の調べに対し「自分の頭の整理のために会社の公式説明などをまとめた」と説明しているという。問答集は、神戸地検が同社を昨年10月と今年5月に家宅捜索した際に、押収した資料の中に含まれていたという。

この手の事件で組織が口裏合わせをはかるのは予想通りで、警察だって関係者がなんの準備もなしに出頭して供述するなどとは思っていまい(だからこそ密室で取り調べたがるわけだが)。家宅捜索であっさり想定問題集を見つけられてしまうあたりはうかつというか、汚い工作でもとことんやり通すというつもりがあったわけではない、と解することができるかもしれない。むしろ「ポリちゃん想定問答集」という不謹慎極まりないネーミングの方に驚く。JR西日本は「そんなふざけたタイトルは個人資料だったからであり、組織的な関与はない」と弁明しているというが、少なくとも「同社の安全運行に携わる担当者」の事故に対する態度を反映しているとみなされても文句は言えない。


家宅捜索で押収と言えば、こちらの続報。

 印鑑宝石販売会社「共栄」(大阪市淀川区)で働いていた世界基督教統一神霊協会統一教会)の信者4人が特定商取引法違反容疑で逮捕された事件をめぐり、大阪府警が共栄本社から、統一教会地区事務局の略称が書かれた複数の文書を押収していたことが捜査関係者への取材でわかった。文書には「目標」「実績」などの文言があり、府警は印鑑などの販売を指示する文書とみて、統一教会と事件との関連をさらに調べる。

直接の逮捕容疑との関連では「今回、信者らの逮捕容疑となった印鑑などの販売時期は文書が送られる前の昨年1〜9月で、信者らの販売手法にどこまで統一教会が関与していたかについては慎重に調べている」とされている点に注意する必要はあるが。
JR西にしても共栄にしてもガサ入れを喰らう可能性は予見可能だったわけだけれども、人間が将来起きるかもしれない都合の悪い事態のリスクをどう評価するか、という観点からなかなか興味深い事例である。