裁判所が取調べの全面録画を後押し?


数日前のニュース。

「男性は、弁護士から差し入れられた被疑者ノートに検事らの発言内容などや自分の精神状態を詳細に記録しており、判決は証拠としての信用性を高く評価した」というあたりが興味深かったので取り上げようかなと思っていたのだが、強圧的な取り調べがきちんと認定され被害が回復された事例だということもあって書きそびれていた。ところが・・・。

 検察官の違法な取り調べで精神的苦痛を受けたとして、傷害の非行事実で保護観察処分を受けた男性(21)=処分当時19歳=と国選弁護人が、国に慰謝料など計660万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、京都地裁であった。
 井戸謙一裁判長は「男性は検察官の発言で尊厳や品位を傷つけられた」などとして違法性を認め、国に計66万円の支払いを命じた。
 判決によると、男性は平成19年9月、京都市中京区のコンビニ店で、万引した仲間を追って来た店員を暴行、けがをさせたとして逮捕され、傷害の非行事実で保護観察処分を受けた。
 取り調べで否認した男性に対し、検察官2人が机をけって威圧したり、「お前もくずや、腐っている」「覚えがなくても、やったかもしれないって言ったら丸く終わる」などと自白を迫るような発言をした。
 判決は男性が書き残したノートなどを基に事実認定。井戸裁判長は「取り調べが録画され事実と異なることが証明されない限り信用性は高い」と指摘した。

後から気がついた産経の報道では裁判長が「取り調べが録画され事実と異なることが証明されない限り信用性は高い」と指摘した、とされている。密室を盾にとった検察の安易な言い逃れは許さない、という裁判官の姿勢が反映されているのだとすれば、なかなか興味深い。このくらいのことは全国の裁判所で標準になって欲しいものだが、他方で不当な嫌疑で身柄を拘束されてしまったときのために、市民もなんとかして取調べ状況についての記録をつけるべきという知恵は身につけておきたい。法廷で「こんなひどいことされました」と主張してもなかなか信じてもらえないが、取調べを受けている間に書いたものがあるとずいぶん違うので。