足利事件、取り調べの録音テープを開示か

 栃木県足利市で90年に女児が殺害された「足利事件」で、いったん有罪が確定した後で再審が決まった菅家利和さん(62)が、別の2件の女児殺害事件=いずれも不起訴=で取り調べを受けた際の録音テープを検察側が弁護側に開示する方針を伝えたことが14日、わかった。


 弁護側が「自白の任意性を調べる重要な資料」とテープの開示を求めたのに対し、検察側はこれまで「再審は無罪を早く確定する手続きだ。別の事件の証拠を出す必要はない」と難色を示してきた。

宇都宮地裁が開示命令も辞さない態度を示したため、地検も方針を変更したとのことです。やはり裁判所の姿勢が肝心ということですね。とはいえ、地検は冤罪を生むプロセスを法廷で検証することにはいまだ抵抗しています。

 関係者によると、検察側は地裁に対しては「開示と再審の進め方は別問題で、再審自体は取り調べ検事の証人尋問などはせず速やかに進行してほしい」旨を要請。弁護側には「マスコミへの公表といった証拠の目的外使用をしないこと」を求めたとされる。

別に個々の捜査員や検察官を吊るし上げろというのではありませんが、証人尋問すら回避させたのでは「自分たちが冤罪事件の当事者なのだ」という意識を持てるもんなんでしょうか。


なお先日放送されたNNNドキュメント'09「法服の枷 沈黙を破った裁判官たち」には、県議選での選挙違反事件で捜査段階の自供の任意性を否定し無罪判決を出した(検察が上告を断念して確定)元裁判官も登場していました。多くの関係者を証人として出廷させ、その一致した証言が無罪判決の決め手になったとのことで、裁判員制度の下でそうした丁寧な審理が可能なのか? と問題提起していました。