「防声具で窒息」事件関連


asahi.com 2009年2月18日 「拘束具で窒息死、和歌山県に5800万円賠償命じる判決」(1ページ目2ページ目
朝日(大阪本社)の朝刊では30面に関連記事があり、「法務省は99年、刑務所や拘置所での拘束具の使用方法を定め、防声具については人権や安全性への配慮から全面的に使用を禁じる通達を出した」と指摘している(強調引用者)。原告弁護団長が判決後の記者会見で「身柄が拘置所に移されていれば事件は起きなかった」と話しているのはこのため。警察が防声具の使用を続けている背景の一つとして「留置施設での保護質の整備が進んでいないこと」を挙げているが、弁護団長は「判決は『代用監獄』の運用そのものに問題があることを示した」とも主張している。
法務省の通達が示す通り使用法を誤った場合の危険性については知られており、さらに「警察庁の使用規定等に反する」使用法だったと今回の判決では認定されているにもかかわらず、事件当時の当直責任者ら3人への刑事処分は「各罰金50万円の略式命令」だった。業務上過失致死傷では有期刑でも執行猶予がつくことが非常に多い(「平成20年版犯罪白書のあらまし」によれば自動車運転過失致死傷とあわせ5,985人、87.3%)ものの、罰金・科料で終わったものは1%に満たない(同じく有罪6,852人に対し58人)。平成17年(事件の翌年)版の「犯罪白書のあらまし」では「業過」というカテゴリーで分類されているが罰金・科料で終わったケースの比率に大きな違いはない。他にどのような事例が罰金・科料で終わっているのかなど調べてみなければ評価はできないが、また代用監獄こそが問題の根源だとすれば当直責任者らだけを責めるわけにもいかないが、かなり稀な処分であることは間違いない。