桜井昌司さん、高裁でも勝訴

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日曜日

-朝日新聞DIGITAL 2021年8月27日 「布川事件訴訟、東京高裁が一審判決維持 国に賠償命令」(アーカイブ

布川事件」冤罪被害者、桜井昌司さんが違法な捜査に対する損害賠償を求めて国と茨城県を訴えていた裁判の控訴審で、原告勝訴の判決が下りました。地裁判決が認めた茨城県警の捜査の違法性に加えて検察による捜査の違法性も認めた判決とのことで、ガンで闘病中の桜井さんが無事控訴審判決を迎えられるかどうか危ぶまれていただけに、ひとまず胸をなでおろしました。高裁で地裁よりも国や県に厳しい判決が出た以上、上告しても判決が覆る可能性はまずありません。なんといっても冤罪だったという事実は動かないのですし。国と県には早々に上告断念の決定を下すことを求めたいと思います。

『無垢なる証人』配信情報

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土曜日

昨年1月に日本公開された『無垢なる証人』、ブログ内を検索したら2月に観に行って「劇場公開が終わったらなにか書こうと思います」と書いていましたが、その後新型コロナの蔓延が本格化してそれどころじゃなくなってたんですね。

klockworx-asia.com

Amazon Japan から来たメールで、この映画がプライム特典として(プライム会員には)無料で視聴できるようになったことがわかりました。調べてみると Hulu でも配信されています。どちらかに加入されている方には是非に、とお勧めしたいです。

「証人」役のキム・ヒャンギ、私は出演作を3本観ているのですが、まったく違う役柄をきちんとこなしていました。どれも10代での出演作です。

新型コロナがウナギへの脅威に?

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月曜日

-毎日新聞 2021年7月22日 「コロナ下でウナギ店への衣替えが相次ぐ理由」(魚拓

客数が減ったのを単価の高さと持ち帰り需要で補うために和食店がうなぎ料理店に業態を変化させる例が相次いでいる、という記事です。

 近年高騰していたウナギそのものの価格の下落も呼び水となっている。東京都中央卸売市場では5月時点で前年同月より16%安く取引されており、最近のピークだった18年と比べると2割安い。養殖池で育てるニホンウナギの稚魚で、主に川で取れるシラスウナギの漁獲量が回復しているためだ。多くが今夏に出回る20年の漁期には国内だけで17・1トンが取れ、歴史的な不漁だった19年漁期の3・7トンから大幅に回復した。

 上記のように漁獲量への言及はありますが、主眼はあくまで価格の低下におかれており、17.1トンという数字がピーク時の10分の1にも満たないことには触れていません。末尾の専門家コメントも「コロナ収束後もウナギ人気が続くかどうかは不透明で、稚魚の漁獲量次第では仕入れが難しくなる恐れもある」というもので、経営への影響しか考慮していないものです。

 

飯塚事件、第二次再審請求

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日曜日

飯塚事件では「自白」はありませんが、冤罪事件/冤罪疑惑事件を扱う記事には「自白の研究」タグを用いています。)

-朝日新聞DIGITAL 2021年7月9日 「飯塚事件」2度目の再審請求申し立て 「新証拠ある」(アーカイブ

digital.asahi.com

確定判決の事実認定とは矛盾する目撃証言を新証拠とした、とのことですがこの記事ではどのような経緯でその証言が得られたのかは明らかではありません。

-西日本新聞 2021年7月10日 新たな目撃証言「別人の車に2女児」 飯塚事件、2度目の再審請求(アーカイブ

こちらの記事によれば、目撃証言の主は事件発生翌日に警察に通報、「約1週間後に警察官に事情を話したが、聴取はその1度きりで供述調書は作成されなかった」とのこと。「記者会見」も行ったとされていますので、今年4月に第一次再審請求が棄却されたのを機に弁護団にコンタクトを取ったのかもしれません。詳細が判明したらまた追記いたします。

 

姫路郵便強盗事件、再審開始ならず

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木曜日

(一貫して自白のない事件ですが、冤罪および再審に関する情報全般を扱うためのタグとして「自白の研究」を用いています。)

-MBS 2021年7月1日 20年前の郵便局強盗事件 ナイジェリア人男性の再審請求を『認めず』 大阪高裁(アーカイブ

www.mbs.jp

本ブログでは以下でとりあげたことのある冤罪疑惑事件です。

来年こそは再審の扉が開きますように

姫路郵便局強盗事件も再審請求却下

姫路郵便局強盗事件の再審請求で新たな動き

 

袴田事件支援集会、弁護団が「期待」

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月曜日

昨日、6月27日に袴田事件の支援集会が静岡市で開かれたとのことです。

www.at-s.com

最高裁の差し戻し決定については「なんとか最悪の事態だけは回避できた」ということだろうと思っていたのですが、記事によれば「5点の衣類」について「事件直後に(衣類が)入れられたと認定する証拠がないことを認めた」とのこと。ならば差し戻しではなく再審開始決定を出してくれよ……と思いますが。ともあれ、弁護団の「期待」が裏切られないことを祈ります。

否認事件の被害者参加制度

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火曜日

Jアノンとしても知られる加藤「陰部論」清隆氏が意味不明なツイートをしていました。

 「遺族の情に寄り添えば」は、被告人の主張に従えば一種の虚偽自白の動機について述べたものであり、法廷での供述の動機じゃありません。捜査段階の供述を覆して否認に転じているのですから、現在では「遺族の情に寄り添」うことより無罪主張を優先させたということであり、「完全否定が遺族の情に寄り添うことになる」などという馬鹿げた主張は加藤氏の脳内にしかない陰部論もいいところです。

この事件、私も被告人の主張に説得力があると考えているわけではありませんが、「刑が軽くなる」と自白を持ちかけるのは取調官の常套手段ですから、捜査段階で踏み間違いの可能性を認めた理由についての説明としては頭から否定することも難しいでしょう。

裁判では遺族が被害者参加制度を利用して直接被告人に質問したと報じられていますが(例えばこちら)、否認事件で被害者参加制度を利用することの難しさを考えさせられました。

 これに対し、松永さんはドライブレコーダーなど物証との矛盾を感じ「罪に、命に向き合ってほしいという遺族の思いすら叶っていない」と思った。飯塚被告の姿勢は今後も変わらないのではないか、とも感じ「絶望してしまった」。直後の記者会見では「アクセルペダルの目視は(時速)80キロで走っていたら1秒もない」と説明を疑問視。飯塚被告の追悼の言葉も「軽い言葉はいらない」と拒絶した。

制度がある以上遺族にはそれを利用する権利がありますが、否認事件なのですから、被告人は“反省”することはできないわけです。遺族にとって残念な結果にしかならないことは予想可能でした。遺族の言葉に打たれて被告人が“真実を語る”のが理想的な展開なのでしょうが、そういう心理的プレッシャーは(この事件はともかく一般論として)無実のひとに自白させてしまう可能性もあります。反省や謝罪のプロセスは有罪が確定してから始まるもの、という認識に立って被害者・被害者遺族支援のあり方を考える方がよいのではないでしょうか。