ナメコでも……

f:id:apesnotmonkeys:20081226100549j:plain

日曜日

-山形新聞 2019年11月03日 「天然ナメコ、山奥でつやつや 真室川で採取始まる

この記事、次のように結ばれております。

 同町釜渕の山中では、斜面のナラの木に、小ぶりながらも丸々としたナメコがびっしり。よくキノコを採り行くという近くの会社員姉崎進さん(59)は「苦労して収穫した分、おいしさは格別。みそ汁にするとおいしい」と話していた。

 地方紙に載った「ちょっといい話」記事。しかしその前段には……「ナラ枯れの影響で採れる量も年々減少している」「今季は特に少なく、昨年の10分の1ほどだという」とあります。原因が「ナラ枯れ」ということは問題は構造的なもので、たまたま不出来だという話じゃありません。手を打たなければそれこそこの地域では(天然種が)絶滅することもありうるわけです。「おいしさは格別」で結んでよいニュースじゃないわけですが、この国のマスメディアは生態系の危機についても、食える生物が絡んでいると「お財布」か「味」の問題にしてしまいますから。度し難いです。

結局、有罪立証放棄……

f:id:apesnotmonkeys:20081226100336j:plain

金曜日

-京都新聞 2019年10月24日 「殺人罪で12年服役の元看護助手、再審無罪へ 検察が有罪立証を断念、滋賀・湖東病院事件

弁護団によると、書面では、確定判決で有罪の証拠になった「故意にチューブを外した」などとする西山さんの自白調書について、再審公判で証拠として引き継ぐかは裁判所に一任する、とした。弁護団の証拠請求にも可能な限り同意する意向を示し、本年度内の再審公判開始や即日結審を希望しているという。

(下線は引用者)

 弁護側は自白の誘導を問題視していますから、検察側のねらいは引用中の下線部にあると見てよいでしょう。弁護側の主張に対して争わないことで再審をさっさと終わらせ、捜査の問題が裁判で議論になるのを避ける、と。

事実上無罪が決まったからといって、すなおには喜べない事態です。

 

 

大崎事件、第4次再審請求を目指す方針

f:id:apesnotmonkeys:20081226100433j:plain

水曜日

10月1日のエントリで紹介した大崎事件の支援集会の前日14日に、シンポジウムの登壇者らが原口アヤ子さんを激励に訪れた、というニュースです。

-MBC NEWS 2019年10月14日 「大崎事件から40年 原口さんを支援者が激励」(archive.is

-日テレNEWS24 2019年10月14日「大崎事件 支援者が原口アヤ子さんを激励」(archive.is

日テレのニュースの方では原口さんの長女もコメントしておられます。

弁護団事務局長、鴨志田弁護士のツイート。

 

そして15日の集会では、第4次再審請求を目指す方針が明らかにされたとのことです。

-JIJI.COM 2019年10月15日 「年内にも第4次再審請求=大崎事件、40年集会で方針-鹿児島

年内、遅くとも年度内には……とのことですが、限られた時間で最高裁の決定に対抗するどのようなロジックを見出すのか、弁護団の朝鮮に注目したいと思います。

湖東記念病院事件再審で検察が有罪立証放棄?

f:id:apesnotmonkeys:20081226100455j:plain

火曜日

 

-朝日新聞 DIGITAL 2019年9月30日 検察側が有罪主張を撤回か 滋賀・患者死亡の再審協議archive.is

 滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年、呼吸器を外して入院患者を殺害したとして、殺人罪で服役した元看護助手の西山美香さん(39)のやり直し裁判(再審)に向けた協議が30日、大津地裁であり、検察側が有罪主張の根拠とする新証拠を出さない方針を示した。協議後、西山さんの弁護団が明らかにした。

指宿信(いぶすきまこと)・成城大教授(刑事訴訟法)の話

 検察側が再審公判で新たな証拠を出さないのは、有罪を立証する自信がなく、あきらめたように見える。検察側が有罪主張を維持することも理論上は可能だが、確定した再審開始決定の拘束力は、再審公判での裁判所の判断にも影響が及ぶと考えるのが自然だ。無罪になる公算が大きくなったといえる。

 再審開始の決定を導いた弁護団の主張に反論するための新たな材料を出さないということですから、識者コメントの通りなのでしょうが、そうだとすればなぜ再審請求審で特別抗告まで行なったのか、松橋事件と同じような問題を指摘することができます。

「大崎事件40周年」支援集会

f:id:apesnotmonkeys:20081226100455j:plain

火曜日


亀石倫子弁護士のツイッターでの告知です。

 何気ないことのようですが、登壇者が全員女性だというのはすごいですね。大崎事件弁護団は事務局長の 鴨志田祐美弁護士も女性ですし。男だらけのシンポジウムなら嫌というほど見てきましたが。

 

まったく「セクシー」でない小泉進次郎の振る舞い

f:id:apesnotmonkeys:20081226100523j:plain

木曜日

 

まあこのひとが安倍政権エクストリーム擁護をやらかすのは想定通りですが、さすがに石炭火力発電を推進する日本政府の方針について質された際の間抜け面はスルーせざるを得なかったようです。

 夕刊フジのほうがまだしも的確に報じているのだから笑ってしまいます。なにせ、小泉進次郎は自分の行動でもって自分の発言の空疎さを暴露しているからです。

-TBS NEWS 2019年9月25日 「小泉環境相に聞く、“ステーキ”と“地球温暖化”の関係は?」(archive.is

この問題、ニホンウナギや太平洋クロマグロの危機的な資源状況を前にして「食卓」や「お財布」の心配ばかりしてきた日本のメディアにも大きな責任があるでしょう。「絶滅危惧種は食わない」「環境負荷の高い肉食は(止められないまでも)減らす」ライフスタイルこそが「セクシー」だとアピールする発想のない環境大臣の「セクシー」発言になど、一文の値打ちもありません。

松川事件「謀略」説に一石

f:id:apesnotmonkeys:20081226100523j:plain

木曜日

 

今年は松川事件発生から70年ということで、記念集会が福島大学で開催されると報じられていました。

-毎日新聞 2019年8月24日 「松川事件70年 無罪確定の阿部さん、冤罪のない社会訴え 9月に福島大で集会

ところが集会が目前に迫るなか、先日公表が報じられた田島宮内庁長官「拝謁記」に松川事件に関する記述が、というニュースが飛び込んできました。

-NHK NEWS WEB 2019年9月17日 「昭和天皇「拝謁記」の衝撃

-NHK NEWS WEB 2019年9月19日 「「国鉄三大ミステリー」松川事件に関する記述も

1953年11月11日の記録のなかに「一寸法務大臣ニきいたが松川事件アメリカがやつて共産党の所為ニしたとかいふ事だが」「これら過失ハあるが汚物を何とかしたといふので司令官が社会党ニ謝罪ニいつてる」との発言がある、とのことです。

注目すべき点の一つはこの日付です。一部の被告人をのぞいて有罪を維持した二審判決が出たのが同年12月22日。広津和郎が公判を傍聴するなど後の支援運動につながる動きが始まる中、二審判決が下るのを目前にした時期です。法務大臣の発言は伝聞の伝聞で記録されているだけとはいえ、司法当局が意図的に冤罪をつくりだした可能性を示唆するものです。当然、政府が調査委員会を設置して徹底的に追及すべき問題ですね。